あらゆる候補のなかからベストのものを選択する

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私の事務所では、最低三回はショールームへ一緒に行ってもらうことにしています。その第一回目が、すでに述べましたが、設計案の絞り込みが終了し、基本設計が決まるころになります。なぜなら、このまえだと施主の関心が間取りに向かっている状態で、家のイメージが固まっていないため、あまり効果が期待できないからです。この時期には、そんなに広い空間ではない、たとえば浴室などを見てもらいます。浴槽がセレクトできれば、同時に床や壁のタイルなど、全体のカラートーンを決定することが可能になるわけです。第二回目は、こちらが全体の予算を提示したときです。私の事務所では、あらかじめ施主から聞いていた「こだわり」に従いつつ予算も考慮に入れたものを、いくつか選択しておきます。そして、それをボードに張り付け、施主にはそのボードを持ってショールームに行ってもらうわけです。ハウスメーカーの場合だと、大量買い付けによるコストダウンをはかるため、限られたメーカーや材質のなかから、材料・色を選ばなければなりません。でも、私の事務所の場合は、あらゆる方面から、選りすぐったよりよいものを提案するようにしています。なぜなら、いろいろなものから、自分の気に入ったものを選ぶという楽しみは、家づくりの特権だと思うからです。そして第三回目が、工事が着工してからになります。先ほども述べましたが、浴室などの狭い空間であれば、全体のカラートーンを決定することができます。でも、天井やリビングの床や壁などは、実際に工事に入って、ある程度の骨組みができあがった状態でなければ、イメージをつかむのは難しいものです。そこで、私の事務所では、屋根や外壁の材料をはじめ、フローリングや壁の材料などの大きなサンプルを取り寄せ、工事現場で施主に見てもらうことにしています。部屋のなかで小さなサンプルを見るのとは違った印象となり、最終決定する際の格好の判断材料となります。
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家のトータルコーディネートは自然の色彩をベースにこのように、ショールーム見学は、着工まえからはじまり、工事中も続行されるものです。そこで、施主が決定しなければならないことは、さまざまありますが、これを「義務」と考えないことが大切です。実際、床材やタイルなどの素材選びの作業は、やってみるとつい熱中するほどなので、ショールームも楽しみながら利用したいものです。ただ、一つだけ注意したいのが、家はトータルコーディネートされる必要があるということ。たとえば、色について言うなら、あまり突飛なものに対しては、施主の希望であっても受け入れられないことがあります。日本人にとって落ち着く色彩というのは、木や大地などの自然の色で、たとえるなら地球色なのです。色彩は、それこそ無限に存在するものですが、そのうち住まいで使われるのは、日本古来の自然色で、グレーやベージュ、茶あたりが基本になります。そこで私は、地球色といわれる色をベースにしながら、この色以外を用いてアクセントを付けることで、「飽き」がこないよう工夫しています。こうした家のトータルコーディネートについては、施主にショールームに行ってもらうまえにきちんと説明することにしています。「好み」を言い出すときりがないし、高価な設備機器を設置したからといってうまくいくとは限りません。いろいろな要素がからみあい、トータルとして、いい家ができあがるということを忘れないでほしいものです。