建築家が「コストダウン」で工夫すること

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目に見える部分だけでなく目に見えない部分も削減する
2割から3割増しの予算を提示すると、なんとかお金の都合をつけようとする施主もいますが、たいていは、「100万円ぐらいのオーバーで収めてほしい」といったように、コストダウンを希望することが多いのです。そこで、コストダウンした予算を再提案することになるわけですが、ここで重要なことは、あくまで施主の「こだわり」に従いつつ、最低限の基準をクリアしながら、コストダウンするということです。これまで何回か述べてきましたが、「コストダウン」が最終目標ではなく、施主の家づくりに対する希望が主役であることを忘れてはならないのです。そもそもコストについては、施主が理解できない部分が、全体の五分の四ぐらいあるのです。それは、基礎や土台といった構造体の部分で、「木工事」が予算の3分の1ぐらいを占めています。こういった基礎工事や仮設工事などの専門知識を要する部分に対しては、施主はわからないので、なかなか口を挟むことができません。その結果、目に見えるもの、たとえば照明器具をはじめ、ビニールクロスやドアなど、カタログで値段を確認できるものだけに目がいってしまいがちになります。しかし、この部分は全体予算のたかだか5分の1ほどでしかなく、コストダウンの要素となるにせよ、決め手にはなりえないのです。ちなみに、コストダウンしやすいものとしては、外装材、設備、建具、家具、内装材、開口部(アルミサッシの種類)などがあげられます。ハウスメーカーの場合も、この目に見える部分のみのグレードを下げることでしか、コストダウンしてくれません。でも、建築家の場合は違います。建築家は、目に見える部分の「質を下げて」削減するだけではなく、反対に、目に見えない構造体の部分(全体予算の5分の4の部分)からもコストダウンするように、つねに心掛けています。そして、その浮かしたコストを、目に見える5分の1の部分に回すように工夫するのです。換言するなら、融通を利かせていかにコストを「総合的」にダウンさせるかが、建築家の腕の見せどころになるわけです。このようにコストダウン1つを考えても、決して設計料は高くないということが、おわかりになると思います。
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「減額」も「増額」も同時に考慮する
それでは、どのように「総合的にコストダウン」しているか見てみることにしましょう。施主の目標金額に近づけるために提案したものです。木工事で収納造作の仕上げを変更したり、家具工事を造作工事に変更したりなどするほか、子供部屋の二つの床暖房を中止するなど、少しずつコスト削減していることがわかるはずです。このほか、一部市販の家具をビルトインにしたり、同じ自然の素材でも、塗り方や吹き付け方法を変えたりと、いろいろ提案します。コストダウンする際は、「減額」も「増額」も同時に考慮する必要があるのです。コストダウンするのは簡単ですが、あとさきのことを考えない減額は無意味です。どうしても予算が足りない場合は、配管とか設備などの今しかできないもので予算を削るのではなく、あとでもできることは、思い切って住んでからの二期工事にすることを考えるべきです。なんでもかんでも無理して予算内ですべてをやってしまうと、あとあと後悔することになります。